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reservoir-drawing’s blog

徒然に、日々や絵など。

時のもたらすもの

生きていれば、ひどく打ちのめされ
時に大きな痛みや、形容しがたい悲しみをかかえる事だってある

問題は、その痛みや悲しみをどう乗り越えるかだけど
たちどころに癒えるなんて事は少なくて、
どうにかやり過ごす事も必要になる

ある日のこと

俺は、駅前の道を重い足取りで歩いていた

その時の俺は、とんでもない喪失を被っていた時期だった

そう、妻を亡くしてほんの数週間だった

どこでどうしたもんか
これからどう俺は生きればいい?
・・・・そんな心持ちの俺の目の前

小さな子供がはしゃいでいる

俺は、その無邪気な様子を機械的に目で追う

それは、可愛さを感じる、とかそういった感情ではなく
ただ動き回る「それ」に目が向いているだけに過ぎない

その子が勢いあまって転ぶ

そのとき突然に、俺の視界を支配していたグレーのフィルターが
本来の色で俺に景色をうつす

無機質な感情に、血が通う

俺は手を差し出し、その子を起こしていた
そして頭をなでた後、服の埃を払い
その子に駆け寄る母親に向け、そっと背中を押した

「さ、ママがまってるぜ」

その刹那だけは、俺は痛みを棚上げし、
ちっちゃな子のことだけを、考えられた

しばらくして、やっぱ痛みや喪失感は戻ってきてしまったのだけれど

それでも少し、ほんの僅か。
俺の痛みは薄らいでいたんだと思う
だからさ、曲りなりにもなんとか己を制御できている「今」があるんじゃないかって

追い立てられるように、何かに打ち込んだりとか
とっさに誰かへと注ぐエネルギーって
回りまわって、自分を癒すのだろう。

そう俺は考えるんだ。


時間は、残酷な側面があるけど
優しい側面もあるんだろうね